怪談師・神原リカ氏インタビュー

来る令和元年七月二十一日。妖怪の町・鳥取県境港から怪談師・神原リカ氏をお招きしての怪談ライブを開催します。その名も「郷土怪談ライブ 山陰編」。
それに先駆け神原氏にインタビューをしました。鳥取県と島根県を有する山陰地方にちなんだ怪談を聞いてよりその土地に親しんでもらえたら本望です。



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ヒトならざる者が語る怪談。

怪談を語る時、彼女は狐の面をつけ、白い装束を身に纏い、舞台に立つ。“怪談師”というヒトではなく、ヒトならざる者として怖い話を語り、聞く者に非日常を味わってもらう。鳥取県境港在住の怪談師・神原リカ氏はそう、私に語ってくれたのです。
境港といえば水木しげる先生ゆかりの妖怪の町。「ゲゲゲの鬼太郎」を見て育ったという方も多いのではないでしょうか。神原氏は小泉八雲で有名な島根県松江の出身で現在は妖怪の町・境港在住。コワい話やコワいものたちが蠢くそんな土地が彼女の“郷土”なのです。
山陰という場所は神戸出身の自分にとってはかなり興味深いスポットです。まず「山陰」という字面からして暗く、鬱蒼とした山々が脳裏に浮かびます。そして代表とされる場所には出雲大社や大山など、神々と妖怪が共存共栄しているような、人間の数よりもむしろそうでないモノたちの方が多いであろう土地で育った怪談師のコワイハナシを聞いてみたいと思ったのがこの企画の始まりでもあります。“郷土料理”ならぬ“郷土怪談”です。
“コワイハナシは面白いもの“。と神原氏が気づいたのは、他の人には見えないものが見えるというおばあさまから不思議な話を子供の頃にたくさん聞かせてもらったことだとか。インタビューではこんな話を聞かせてくれました。

[おばあさまのフシギな体験]

祖母がまだ子供だったころ、母親に近くの親戚までお使いを頼まれたそうです。
子供の足で30分程度。秋晴れの気持ちのいい天気でした。丁度稲刈りも終わって見通しがよく、遠くの田んぼまで見えました。
田んぼの間の田舎道をずーっと歩いていると、向こうのほうで「ボッ」と火が上がるのが見えました。
「あー、くよしをしちょんなーだわ」
と思ったそうです。
くよしというのは稲刈りが終わった田んぼや、畑の中でする焚き火のこと。
今は環境のこともあって焚き火等もできなくなりましたが、昔はどの畑や田んぼでもくよしをして稲刈りで出たごみや家のごみを燃やしていたのでした。
「天気もいいけんなぁ」などと思って歩いていると、また向こうの田んぼで「ボッ」と火が付くのが見えました。「あら向こうでもしちょんなーわ」 と思っていると、あちらの田んぼでもこちらの田んぼでも「ボッ」「ボッ」と火がつきました。「今日は天気がいいだけんねぇ」 
あちこちでくよしの火が上がるのを見ながら、やがて親戚の家に着いた祖母は「こんにちはー。」と玄関を開けて声をかけました。
すると奥の部屋から、家にいるはずの母親が鬼のような形相で走ってでてきたかと思うと「あんた!こげな時間までどこでなにしっちょたかね!!」 と祖母を怒鳴りつけたそうです。
祖母はすごく驚きました。なぜなら親戚の家までは田舎の一本道。
先ほど自分が家を出るときに台所で洗い物をしていた母親が自分より先に親戚の家にいるのです。
「何でおかーちゃんがおる?」
「なんでじゃないわね!!あんたがいつまでたっても帰ってこんけん、迎えにきただわね。
そしたらあんたがまだ来ちょらんっておばさんは言いなるし。
こげな時間までどこでなにしちょったかね」
とまた怒鳴られたそうです。
「こげな時間ってまんだ昼過ぎだがね」
「何が昼過ぎかね!もう暗んなっちょーでしょー」
はぁ?と思って振り返ると、日の落ちた玄関先には冷たい風が吹き、虫の声が聞こえています。
祖母は何が何やら訳もわからずに、そのまましばらく外を見たまま動けなかったそう。
そのうち親戚のおばさんが出てきて、
「そげに怒鳴らんでも、こげして来ただけんいいがね」
と怒る母をたしなめ、部屋でお茶を出してくれました。
「そーで、あんたはどこで道草しちょったかね」
と聞かれたので、自分が道草をしてないこと、さっきまで昼間の明るさだったこと、
ここまで来る道中、あちこちでくよしをしていたことを一生懸命話しました。
はじめは子供の嘘だと思っていた母親も、祖母があまりにも真剣に同じ事を繰り返すので少しあきれかけていたとき、こたつに入って祖母の話を黙って聞いていた親戚のおばあさんが
「あんた、それは狐に化かされただがね」
ポツリと言ったのでした。
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所詮“見えるヒト”であったおばあさまから不思議なお話を聞かせてもらっていたため、“「不思議な話」=「怖い話」=「怪談」は面白いもの”という概念が生まれたようです。
しかしながらそういった“怪談は面白い”という気持ちは持ちつつもわざわざ怪談師になろうと決めていた訳ではありませんでした。そんな彼女に転機が訪れたのは2014年のこと。

もっとたくさんコワイハナシを聞くためには。

その頃も怪談を聞くことが好きだった神原氏は「どうすればもっとたくさんの怪談を聞けるのだろう・・」と思案した結果、「百物語をすればいい!」という結論に至ったのだとか。
百物語というと、日本に昔からある怪談会で怪談を100話話し終えると怪異が現れるとされるイベント。
たまたま新しくイベントスペースがオープンするということで、百物語イベントを開催したいという旨をプレゼンしたところ、なんとプレゼンで最優秀賞をもらえ、無事百物語イベントを催行することができたのです。そこに集まった50名ほどの参加者と共にマイクをまわしながら3時間で47話の怪談をみんなで聞くことができたとのこと。「怪談をもっとたくさん聞きたい」という実直な気持ちが今の“怪談師・神原リカ”を作ったといっても過言ではありません。「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものですね。

山陰という郷土の持つ風土病。

神原氏は怪談を人間ではなく、“ヒトではないモノ”として語ります。それは聞く人に非日常を味わってもらうため。そんな彼女は以前よくアニメのコスプレをしていた経験や、自主製作映画で外の星からやってきて地球を侵略する役を演じたことがあるのだとか。まさに彼女は“ヒトではないモノ”を演じるプロ。これもまさしく人間の数よりもむしろそうではないモノたちの方が多いであろう、山陰という“郷土”の持つ風土病なのかもしれません・・・。

というわけで今回は山陰出身の怪談師・神原リカ氏による、山陰原始焼きワールドで開催の、山陰にまつわる怪談ライブということで、豪華な山陰尽くしのイベントです。
そのため、ある意味での“裏側”から山陰の魅力を、怪談を通して発信していけることに怪談好きとしては魂が迸るほどに嬉しく期待している所存です。
個人的に一番楽しみにしているのは、怖い話をしていると霊が集まってくる説を信じて(!!!)、ライブ中に何らかの怪現象が起こってしまったらどうしよう・・・ということ。しかも山陰原始焼きワールドは地下に入っていくお店なので、イロイロと溜まりやすいかもしれません。ライブに来てくださる方はそういったことをゆめゆめ忘れることなかれ・・・。


                                                        

文:+郷土スタッフ 足立

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