おいしいりんごを見つける旅りんごの国、青森へ。

つやつやと赤く光って、かわいらしい見た目。
生で食べるとシャリっとした食感で、甘みと酸味が程よく、
火を通してアップルパイや、ジャムにしてもおいしい。
その上「1日1個のりんごは医者いらず。」と言われるぐらい栄養価も高い。
しかも1年中食べられる。まさしく万能なりんご。
そんなポテンシャルが高いりんごですが、
最近は黄色いりんごが広まってきていたり、
りんごの蜜は実は甘くない(!)などなど。
調べてみると意外と知らないことが、たくさんあるようです。
そこで、青森までりんごを知る旅に出て、
もっとりんごが好きになって帰ってきました。
青森のりんごがおいしいワケを、おすそわけします。

Topic.1

樹齢100年の味わいを求めて。

樹齢100年の味わいを求めて。Yamada Orchard

青森県南津軽郡大鰐町山田果樹園

青森県南津軽郡。秋田県との県境にある大鰐町に、山田果樹園はある。大鰐高原で育ったりんごは酸味と甘みのバランスが良く地元でも人気。明治時代に植えられた台木は樹齢100年を超え、今もおいしいりんごを作り続けている。

赤さより、味の濃さの元祖ふじ。

「昔のふじって、甘いんですよ。」
そう教えてくれたのは、4代続くりんご園を営む山田敏彦さん。普段、私たちが食べているふじは、同じふじでも品種改良をした、赤く着色しやすいもの。真っ赤できれいなりんごの方が高値でよく売れるため、主流になっていったんだそう。

「このふじは最初の品種で元祖。酸味と甘さがしっかりして、奥深い味わいが特徴です。」樹齢100年を超える台木から力強く生えるのは、この元祖ふじ。「葉っぱを育てるという感覚を持って育てています。いい葉っぱを作ることによって、葉っぱの養分、おいしさを実に移していくんです。」という言葉の通り、元祖ふじの木は青々と茂っている。

元祖ふじの画像1

また、元祖ふじの木は枝の端から端までなんと12、3mもある。大きく広がっている分重心は低く、たくましい枝が四方へぐっと伸びている。そのため支柱は普通のりんごの木より数倍多い。実の重さで全体がしなって、ずっしりと力強い印象だ。

明治時代にりんごの神様と呼ばれた人が“枝は垂るるにあり”という言葉を残している。実がなって枝が垂れると、枝の上へ伸びようとする力が、実に向かうようになる。そこからりんごに養分が行き、おいしくなっていく。元祖ふじはまさしく垂るる枝になるりんごだった。

元祖ふじの画像2

りんごの木はおしゃべりなんです。

「りんごの木がどう伸びたいかを、見てあげられるか。言葉は発しないけれど、聞いてあげられるかどうかが大切です。」と山田さんは言う。ただ枝が伸びればいいということではなく、一本一本向き合って剪定していく。枝を切った刺激に根が反応して、枝と根は一定のバランスを保ちながら根が伸びていくんだそう。元祖ふじの樹齢は100年以上になる。深くまで根が張っているため、若いりんごの木にはない滋味深い味になっていることだろう。

標高が高く寒いことから、味が濃く酸味が強い。そのため、酸味が全体に行きとどいてまろやかになるまで1週間ほど寝かせる。そうすることでりんごが持つ本来のおいしさになるんだそう。高原りんごは寒暖差で実がキュッと締まっていて、日持ちがするのが特徴。

りんごの画像

Topic.2

りんごのうまさは葉っぱで決まる。

りんごのうまさは葉っぱで決まる。Sakuraba Plantation

青森県南津軽郡桜庭りんご農園

青森県津軽地方の中央部。津軽平野の真ん中に桜庭りんご農園はある。平野で作るりんごは太陽をたくさん浴びながらゆっくりと育つから、丸々と大きいのが特徴。“葉印製法”という特別な栽培方法で育てると、蜜入りになりやすく、リピーターも多いんだそう。

りんごの黄色い部分、そこにおいしさの秘密がある

「3日遅く収穫するだけで、糖度も上がりますし、水分が多くなって口当たりもよくなります」たった3日で?聞いて驚いた。〝葉印製法〟で育てたふじりんごは一番最後に収穫する。この葉印製法、りんごツウの間で最近人気なんだとか。簡単に説明すると〝りんごの葉をつけたまま〟育てるのだ。葉っぱは実に栄養を運ぶ、おいしさの生命線。最近の主流はりんごの影になる葉っぱを取って、陽を当てて実を赤くするが、ここでは味を追求して葉を残している。陽の当たらない部分は黄色くなるが、一度食べると赤いりんごには戻れないという。葉から養分がたっぷり届いて、収穫も一番遅くにすると…そう、蜜が入りやすくなるのだ。必ず蜜が入るわけではないし、じつは蜜は水分なのでそれ自体は甘くない。蜜入りにこだわらなくても葉印製法のりんごは葉っぱの力で味が濃い。

おいしさの秘密の画像1

そして、葉印製法の収穫は一番最後。その分、嵐など自然災害の危険性が高くなる。「おいしいって言ってもらえるのが嬉しいから」と桜庭さんはギリギリまで収穫を待つ。笑顔にはおいしいりんごを届けたいという思いであふれていた。平地は日照時間が長い。そして、山より暖かいので色付くのもゆっくりだ。そのためりんごはたくさん陽を浴びて、じっくり育つ。だから、玉伸びがよく、大玉になりやすいのが特徴。桜庭さんのりんごはみっちり、ずっしりとしていて、贈答用にも人気だ。栽培方法にもこだわっていて、陽が入りやすく、糖度も高いといわれる“わい化栽培”をいち早く取り入れたりんご園でもある。自家製のたい肥づくりにも力を入れている。

おいしさの秘密の画像2

小さな働き者マメコバチ。

現役で先代のお父さん自らの手で蜂を増やして、蜂で受粉をはじめた。それまでは一つひとつの花に手作業で受粉したという。増やした蜂は周りの農家さんにも配った。交配が手作業の頃は、りんご畑を手伝うために中学校で“交配休み”があったそう!

マメコバチは1~1.5センチほど。りんごの花粉と土を丸めて団子を作り、その中に卵を産む。温厚でほとんど刺さないが、噛むと痛いんだそう。

マメコバチの画像

Topic.3

日本のりんご文化を支える弘前。

日本のりんご文化を支える弘前。Marketplace

青森県弘前市㈱弘果物流 常務取締役 水木さん

青森県弘前市にある弘果弘前中央青果(株)。市場の周りには「○○アップル」など、りんご屋さんの名前が書かれた体育館よりも大きなりんご専用の冷蔵庫が、道路沿いに並ぶ。収穫量日本一ならではの景色だ。りんごの街弘前でりんごについて伺う。

日本一のりんご市場へ。

りんご市場の画像

無骨で大きな倉庫に入ると、ふわっと甘いりんごの香りでいっぱいだった。青森県弘前市にある弘果弘前中央青果は、りんご取扱量日本一を誇る。1年を通して取り扱う品種は約90種(有袋・無袋含む)、数量は約500万箱になるという。りんごは箱単位で数えられていて1箱20㎏。青森県全体では約2000万箱なので、約4分の1がここで取り扱われることになる。市場のピークは、10月25日から11月5日あたり。実を1個ずつ袋掛けをして育てる有袋という栽培方法の「有袋ふじ」と「王林」が出てくる頃だ。最盛期には3つ倉庫がりんごでぎっしり埋まり、入りきらない分は屋外にも並ぶという。

その数は1日10万箱を超える。1箱は約60~80玉ほど入るという。とてつもない数だ。そして、買い手のスケールもすごい。写真にあるきれいに並んだりんご箱は、1列だいたい300~350箱になるのだが、この列をまるごと競り落とす業者もいるのだ!昔と比べて良くなったのは、りんごの鮮度。りんごは1日置くだけで鮮度が変わる。昔は競り落とした後、次の日まで倉庫に残っていたが、今はフォークリフトや車ですぐに運び出せる。またりんご専用の冷蔵庫ができて通年で出荷できるように。よりおいしく届けるための働きかけや設備、栽培技術が組み合わさって、1年中りんごが食べられる今の日本のりんご文化があるのだ。

りんごのセリはとにかく早い!

青森のりんごのセリは早くて有名。数字すら聞き取れないほどだ。商品の前でセリをする移動競売なのだが、立ち止まっているのはほんの少し。どんどんりんごの前を移動していく。「津軽弁だからわかりにくいかもしれませんが、全部日本語です。聞いているとわかりますよ。」と教えてくれたのは、市場を案内してくれた常務取締役の水木さん。運動音痴の人がいるように、セリは向いている人と向いていない人がいるんだそう。「りんごのセリはやっぱり活気があります。年に1回しか出ない品種もあるので、みんな真剣です。あとはやっぱり早い。 りんごのイメージ画像

りんごのセリの画像

黄色いりんごが増えてきている?

「作る人」「売る人」「消費者」。全部のニーズが揃わないと生産量を増やすのは難しいという。どれだけ作りやすくても、消費者に味が気に入られないと売れないし、消費者から人気が出ても、小玉の品種だと収穫高が上がらない。近年人気が出てきているのは「トキ」や「シナノゴールド」といった黄色い品種。まんべんなく陽を当てて赤くする着色管理をしなくてよいので、人手不足が解消できることと、黄色いりんごの認知が高くなり、消費者に受け入れられ始めて、生産が増えてきたという。反対に、生産量が減ってきているのは貯蔵性に優れている「有袋ふじ」。専用の冷蔵庫で保存され、8月ごろまで出荷される。山形や長野のりんごは旬とともに販売も終わるが、年間を通してりんごがいつでも食べられるのは「有袋ふじ」のおかげなのだ。ただ、1個1個に袋を掛ける作業など人手を必要とする。生産量が少なくなると、季節が反対の南半球からもりんごが入ってくるようになり、生産量の低下につながってしまう。1年を通してりんごを届けるために、青森では地道な活動を続けている。一言にりんごといってもたくさんの品種がある。旬の時期に食べ比べて好みのりんごを探してみては。。

黄色いりんごの画像2

りんごの豆知識

青森りんごの歴史や栄養素など基本的なことから、
おいしいりんごが分かるようになるトクする情報まで、
りんごにまつわるあれこれをご紹介。

  • その1

    青森のりんごの歴史

  • その2

    りんごのルーツと今

  • その3

    女性にうれしい!
    りんごポリフェノール

  • その4

    りんごの栄養素

  • その5

    りんごの切り方

  • その6

    りんごの保存方法

  • その7

    りんごの育て方

  • その8

    主なりんごの種類