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Topic.1
鳥取県境港市角屋食品
アジフライに一生懸命。アジフライはもっと美味しくできる。もっと感動してもらえるものになれる。角屋食品はそう信じている。
2016年に代表取締役に就任した角谷直樹さんは、境港に数ある他の水産加工会社との差別化を図るために「アジフライカンパニー」としてアジフライに特化することを決めた。角屋食品では一日に約2万尾を製造している。アジフライはアジと衣だけで構成されるシンプルな食べ物。それでも角屋食品のアジフライが圧倒的に美味しいのにはワケがある。アジは水揚げされた当日に運び込まれる〝刺身級〞の鮮度の真アジのみを使用し、衣はアジがうっすら透けて見えるほど薄く仕上げる。
生パン粉は外見だけでなく、一口目の食感やインパクト、後味にも大きく影響するため、配合だけでなく硬さや大きさにも細心の注意を払っている。さらに、パン粉の粉付けは手作業で行うことで、アジを傷めず、肉質を十分に活かすことができる。味付けは塩コショウのみだが、塩は伊豆大島産の天然塩を使用するほどの徹底ぶり。まさに究極までこだわり尽くしたのが角屋食品のアジフライなのだ。
角屋食品には先代が創業時に誓った3つの約束がある。
①境港産の原料を使います。
②人工の食品添加物を使いません。
③手間隙を惜しみません。
アジフライはまさにこの約束を体現した商品なのである。
角屋のアジフライは、身が分厚く、塩コショウの味付けがしてあるため、確かに何もつけなくても美味しい。しかし、そこは元食品メーカーの研究員だった直樹さん。最高のアジフライを目指すために、専用のソースを開発した。有機野菜を原料にしたウスターソースをベースに、鳥取県産二十世紀梨と徳島県産柚香(ゆこう)の果汁を配合。自然な甘みと酸味がアジフライの美味しさを引き立てる。人工調味料を一切使用せず、後味がすっきりとしているため、脂身のしつこさも緩和される。何枚でも食べられるソースだ。
Topic.2
鳥取県米子市株式会社ほうき 伯耆のきのこ
きのこの製造販売を事業の柱に据え、将来的には農業全般に携わり、地域に必要とされる企業として成長していきたい。
代表の三鴨真樹さんは、地元企業で新規事業の開発を担当していたが、大手外食チェーンが食材の国産化を図ったことをきっかけに独立し、きくらげ栽培を始めた。市場に出回るきくらげは乾燥ものが大半を占めるが、乾燥きくらげはコスト面で中国産に劣るため、国産のシェアはわずか3%程度だ。しかし、近年、安心安全で、生のきくらげのプリプリとした食感を楽しめることから、少しずつであるが国産のシェアが拡大しつつある。「伯耆のきのこ」は、完全無農薬栽培で、菌床も自社で生産していることから、まさに純国産のきくらげと言える。
収穫から袋詰めまで、一つ一つ丁寧に人の手と目を使って行うことで、安心安全を追求している。また、きくらげの栽培には大量の水が必要となるのだが、「伯耆のきのこ」の栽培場で使用される水は、地下30mから汲み上げた大山の伏流水を使用している。長い歳月を経てろ過された大山の伏流水は、ミネラル豊富な天然水。これが栄養分となり、プリプリに成長したきのこを育てることが可能になるのだ。
創業時はハウス1棟から始まった。その後、半年に1棟ずつのペースでハウスを増やしてきた。2018年4月には菌床工場を設立し、自社で菌床の生産を始めた。きくらげは一日でも放置すると大きくなり過ぎてしまうため、収穫期にはマンパワーが必要だ。そのため、近隣の福祉作業所や地域のお母さん方にも手伝ってもらい、朝の作業場はとても賑やかだ。伯耆のきのこは、「産業としての農業を確立し、雇用の創出を図る」を企業理念としており、まさにこれを実践している。今後は、観光客にも楽しんでもらえるスポットとして、観光農園を作り、一年を通して収穫体験などのできる施設にしたいと意気込む。